【時間地図】歪んだ地図の正体とは・・・!?
こんにちは。廣戸です。
さて、さっそくですが、次の図をご覧ください。
東北から近畿にかけての駅名がいくつか並んでいます。はたして、みなさまにはこれがなんの図に見えるでしょうか。
わかりやすくするために、ちょっと補助線を引いてみます。
駅名を、日本の主要な鉄道路線でつなげてみました。
(細かい部分は実際とちがいますが、デフォルメされた図だと思ってください。)
なんとなく、東北から近畿にかけての日本地図に見えてきましたね。
ですが、青森より秋田の方が上にあったり、関西より北陸の方がだいぶ左にあったりと、見慣れた日本地図とはちょっと違うように見えます。
ちなみに、駅の地理的な位置を正しく表した図がこちらです。
これは、見慣れた日本地図とほぼ同じなのではないかと思います。
では、最初の図はいったい、何を表したものだったのでしょうか。東京だけ四角が赤かったのがヒントです。
さらに補助線として、東京駅を中心とした同心円を描いてみます。
もしかすると、何か見えてきたのではないでしょうか。では、正解を発表します。
実は、東京駅以外は地図上で「東京駅と同じ方角に、東京駅からの所要時間だけ離れた位置」に置かれています。
みなさんは「時間地図」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「地点間の距離を、地図上の距離として表現したもの」を、時間地図と呼んだりします。
この図はまさに、「東京駅から各駅への所要時間を、地図上の距離として表したもの」なのです。
この所要時間は、駅すぱあとwebサービスの「平均待ち時間探索」を用いて計算しました。
これは、2駅間の移動時間に加え、列車本数などによって決まる乗車駅での平均待ち時間を考慮して所要時間を算出したものです。
最後の図の同心円上には、東京から同じぐらいの時間で行ける駅が並んでいます。
一応、内側の円から順に「東京駅からの所要時間が1時間、2時間、3時間、…」を表しているのですが、いずれも「平均待ち時間」を含んでいます。これをふまえると、
「東京から名古屋、長野、越後湯沢、仙台まで、だいたい2時間以内で行ける」
「東京から新大阪、直江津、新潟、盛岡まで、だいたい3時間以内で行ける」
などと言うことができます。
ところでみなさん、何かお気づきにならないでしょうか。
「いくら待ち時間を含んでいるといっても、北陸新幹線が開業したいま、東京から金沢まで5時間もかかるのはおかしい!」
そうです。じつはこの図、北陸新幹線開業「前」のデータをもとに作ったものなのです。
北陸新幹線ができる前は、東京から金沢へは、上越新幹線まわりでも、東海道新幹線まわりでも、どちらもだいたい4時間以上かかっていました。ですが、今では北陸新幹線の「かがやき」号が、東京と金沢を最短2時間半で結んでいます。
では、ダイヤ改正後の「時間地図」はどうなっているのでしょうか……!?
それは…次回のお楽しみです。
おまけ
日本地図をだんだんと時間地図(北陸新幹線開業前)に変化させてみました。
のぞみ号の止まる、京都、新大阪や、はやぶさ号の止まる仙台、盛岡、新青森が、東京に吸い込まれるように近づいています。
それとは逆に、乗り継ぎが必要だった北陸が東京からどんどん離れているのが分かります。
必ずしも、「直線上の距離が近いところに速く着ける」わけではない、というのがよくわかりますね。
記事を書いた人
乗換BIG4:廣戸(ひろと)
ヴァル研究所開発部所属。幼少期から鉄道好きで、その知識・熱量は「人間駅すぱあと」と呼ばれるほど。20代前半で全国のJR路線の90%を制覇した乗り鉄の中の乗り鉄。